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吉永 郁生教授

【専門】海洋微生物学、微生物生態学

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この地域に何があって
何が足りないのかを考える

皆さんは、地域創生についてどのようなイメージを持っていますか。地域の特産をつくり、地域外に販売することを考えるかもしれません。しかし、実際には品質が安定せず、地域の少ない労働人口では十分な供給量を確保できないといったことなどから、成功することは難しいと考えられます。成功させるためには、人々が生活する「半径10キロの社会」に目を向け、問題解決のための課題に取り組み、地域を豊かにするための枠組みを再構築する必要があるのです。例えば、鳥取県は電気エネルギーの多くを県外からの供給に頼っています。木材などのバイオマスや家庭ごみを活用した再生可能エネルギーも考えられますが、地形や風土に合っているか検討する必要があります。このように、地域の状況を知り、2050年に向けてどのようなマネジメントをするべきかをテーマに様々な研究に取り組んでいます。

研究成果を地域に還元し
特産品をブランド化する

現在、当センターが中心となり「食のみやこ鳥取づくり連携支援計画」に取り組んでいます。具体的なテーマの一つが、特産品のブランド化です。例えば、鳥取県のらっきょうと、他県のらっきょうは味や大きさの違いはありますが、明確に判別することはできません。そこで、有機物分析をしてデータ化し、数値として地域の特産品の個性を保証できるようになれば、ブランドとしての価値が生まれます。そして、その価値をどう活かしていくか、マーケティングの先生と協働して考えています。化学的な視点で見ることで、農家の方も現状を知ることができますし、品質の均一化を図っていくツールとしても活用できると考えています。また、地方創生と近年注目されているSDGsの取り組みは高い親和性があります。地域を知り、地域の特徴を活かした中で、結果として世界に通用するものづくりにつなげていきたいと考えています。

学生と地域の方が
触れ合う機会を創出する

学生の皆さんには、副専攻「地域実践」を通して地域の現状を知っていただきたいと思います。例えば、鳥取県には「あおや和紙」がありますが、学校での使用や和風建築の減少によって需要が落ち込みました。たとえ品質の良いものでも、需要がなければビジネスにはならないのです。そのため、別の活かし方を考える必要があります。こうした仕組みが分かれば、将来を予測し、次の行動を考えることができるはずです。このような経験を通して、学生自身の土台を見つけることが地域実践が目指すところです。ほかにも、オンラインによる学生と地域の方とのコミュニケーションイベントも企画しています。若い人たちが鳥取県で生活していくためのインセンティブを学生たちに考えてもらいます。このような新しい学びの場を提供することも計画していますので、期待してください。

先生からのメッセージ:2020年11月撮影