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加藤 禎久准教授

【専門】緑地計画学、エコロジカル・プランニング、グリーンインフラ

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自然の保全と、その豊かさを活用する
まちや地域づくりのために

緑地計画学では、緑や水のような自然から得られる恵みを活かした、まちや地域づくりを考えます。中でも私は、都市や流域という広い範囲を対象に、緑地の配置計画について研究しています。緑地のデザインや配置によって、地域の生物多様性がどれぐらい保全できるか、地球温暖化の影響をどれぐらい抑制できるかも変わってきます。まさに自然の保全や管理という側面と、自然が持つ豊かさをいかに人々の生活に活用するかというまちづくりの側面、その接点になる分野です。

▲江戸時代に造られた観音院庭園を調査

自然の機能を減災・防災に
役立てるという考え方

気候変動で集中豪雨や洪水のような自然災害が増えたことにより、近年は生態系を活用した減災・防災という考え方が注目を集めています。都市部では地面がアスファルトやコンクリートのような水を通さない舗装で覆われているところが多くあります。昔は雨が地面に浸透し、ゆっくり川に放出されていたわけですが、人間の開発行為によって自然の水循環のサイクルが分断されたため水災害が増えているという現状があります。それに対応する方法として従来はダムを造る、高い堤防を造るといった土木インフラを中心とした対策が進められてきました。しかし自然災害の頻度や規模が増すにつれて土木インフラに頼るだけでは対処しきれないという問題が出てきました。そこでもともと自然が持っている浸透や貯留の機能を、土木インフラを補完するような形で役立てていこうというわけです。

とにかく動くことが大事。
経済的な側面も理解しよう

ゼミ活動としては、先ごろ岡山にフィールドワークに行きました。『後楽園』と昔の用水路を整備した川沿いにある『西川緑道公園』の調査が目的です。どのような歴史があるか、どういう使われ方をしているかなどを調べたうえで現地へ。学生からは事前学習をしていたことでより理解が深まり、発見も多かったという声が聞かれました。演習を通してゼミ生同士の結束力が深まったことも収穫でした。学生には「とにかく動け」といつも言っています。最初からうまくいく人はいません。失敗するのは当たり前で、いろいろ動きながら学んでいくことが大事です。また、環境問題に興味があるなら経済のことも知ってほしいと思います。これまでは「経済開発か環境保護か」というような時代もありましたが、これからは経済的な側面を理解したうえで環境問題に取り組む姿勢が重要になってきます。

▲フィールドワーク演習で岡山の西川緑道公園へ

先生からのメッセージ:2022年1月撮影