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張 漢賢教授

専門科目:都市計画学、人間居住論

分離した都市空間の機能を
いかに共存させるかを考える

都市空間を中心にその活用、空間と制度の関係、利活用から見られる管理などについて研究しています。建築はそもそもミクスドユーズ(複合用途)が普通でしたが、近代建築では機能を単純化し、「住むところ」「働くところ」というように分離させてきました。しかし私の研究は、多様なものや異なるライフスタイルを同じ空間の中にいかに共存させるかがテーマです。そうなると空間制度上の手法も問われてくることになります。「せっかく分離させたのに、なぜ回帰するのか」という意見もありますが、近年はコンパクトシティという概念もあるように、いろいろな機能をいかに共存させるかが注目されています。例えば高齢者施設と子どもの施設を一緒にする、というように複合的になってきているのです。

既定の概念を新しいニーズに
置き換える面白さ

この研究の面白さは、学生の視点から見れば、身近にある広場や商店街といった空間を一つのケーススタディとしてとらえ、学問的に読み換えることができるところにあると思います。例えば子ども食堂というものがありますね。それは公民館や喫茶店などで行われていますが、これを「居場所」という言葉で置き換えたときに、単なる食事をする場所ではなく、どのような空間が提供できるかというモデル化が可能になります。既定の概念を新しいニーズに置き換える、つまり学問的な読み換えができるわけです。学生は自分の興味・関心に合わせて、実態を調べて記録、分析していくことになります。

そこに立っていれば、
そこでしか見えない風景が獲得できる

ゼミのモットーは「そこに立っていれば、そこでしか見えない風景が獲得できる」というものです。学生たちは体験する前には実感がわきませんが、調査などを体験することで何が到達できていて何が足りないかといったことが見えてきます。また、ゼミでは仲間の発表を聞いたりディスカッションしたりすることで気づきも多いようです。そうした変化・成長を感じられることは、私にとっても喜びです。学問的なことももちろん重要ですが、社会に出る前の大学4年間を通して、学生たちには自分の集中力・持久力・回復力を自己確認し、しっかり伸ばしてほしいと思っています。

先生からのメッセージ:2023年1月撮影