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山本 敦史准教授

【専門】環境化学、分析化学

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環境汚染を調べる分析化学は
社会を支える大事な技術

私の研究の基本は環境汚染の調査です。環境を汚しているものの中には目に見えないもの、臭いのしないものもあります。それらが本当に安全か、化学分析を用いることで調べていきます。これは食品や水の安全性を調べるのとまったく同じ技術で、何も起きなければあまり注目される分野ではないかもしれません。しかし、このような仕事は日本だけでなく世界中に多く存在します。つまり分析化学とは、社会を支える大切な技術なのです。かつては原因を突き止めにくい時代もありました。工場がどんどん建設され、公害問題が発生し、それを受けて化学分析が行われるようになり、環境基準というものが少しずつ出来てきました。その化学分析の中の「質量分析」という重さを使う技術を研究していることが、この研究室の一番の特徴です。例えば、残留農薬はこの質量を持っていて、そういったものが出てきたらアウトというわけです。

機能性成分を見つけることで
農産物の付加価値を高める

この技術は有害なものだけでなく、何にでも利用できます。最近では鳥取県産の農産物の有効成分や栄養成分を測ることにも用いています。機能性成分を見つけることで付加価値を付けるといったお手伝いもしています。血圧の上昇を抑える、肝機能を助けるといった付加価値を地域の農産物や水産物の売りにしていくにはどうすればよいか、そのような取り組みを経営学部のマーケティング活動などとも連携して行っているところです。一方で、測定する対象を決めずに調べるということもやっています。通常なら「この農薬が入っているかどうか」といったことを調べるわけですが、「一体何が入っているのか」が事前に分かっていなくても調べるということです。データ解析はさながらパズルを解くような作業で、研究の面白さを実感することができます。

不思議に思う気持ちを大切に
その疑問を解明するために学ぼう

若い人たちを見ていると、食の安全への関心度が高いと感じます。理系の基本は「疑ってかかる」ことなので、自分で確かめようとする姿勢は良いことです。技術もどんどん進歩していますから、教科書に書いてあることさえ昔と今では変わっています。昔は当たり前でも、今は間違っていることがたくさんあるのです。ゼミ生には丁寧に研究に取り組んでほしい、といつも話しています。川の水をくんできて、濃縮したり取り除いたりして分析機器にかけ、データ解析を行うといった作業には時間もかかります。しかしその一つひとつを疎かにすると、データの精度も雑になってしまいます。これから入学する皆さんは、何に対しても「どうなっているんだろう」と思う気持ちを大切にしてください。その疑問を解明するためには何をしたらいいかを本学で学びましょう。私たち教員がしっかりサポートします。卒業生の中には環境分析の分野で活躍している先輩もいるので、学びを仕事に直結させることも可能です。

先生からのメッセージ:2020年12月撮影