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戸苅 丈仁准教授

【専門】上下水道工学、水環境工学

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微生物の力で下水からメタンを回収し、
エネルギーを創出

下水処理などの水処理技術について研究しています。微生物の力を使った水処理方式の一つに「メタン発酵」があります。微生物が下水汚泥などの有機物を分解する際に発生するバイオガスにはメタンが含まれており、燃やすことでエネルギーに変えることができます。「下水からより多くのメタンを発生させるためにはどうすれば良いか?」、「様々な廃水や廃棄物を混ぜてメタン発酵を行うとどうなるか?」などを研究しています。下水は有用なバイオマス資源です。これからは処理・処分ではなく、再生・利用することが求められており、そのための研究は大変やりがいのあるものです。

▲神戸市東灘処理場では下水処理場での新技術実証実験を見学しました

トライ&エラーを繰り返しながら
プロセスを理解することも大切

ゼミの学生たちも一緒に共同研究に取り組みます。学生たちには、何のためにやるのか実験の意味や目的を理解し、実用化への道のりがいかに大変であるかを知ってほしいと思っています。実験ではまったく同じ条件でやったつもりでも、全然違う結果が出ることがあります。そんなときは私も学生も共に悩みます。もう一つ主な研究として下水汚泥が分解する部分をいかに多くできるかということにも取り組んでいますが、ここでもトライ&エラーを繰り返しています。特にマイクロ波を当てるという手法に着目し、照射強度や時間など様々にファクターを変えながら「こうすれば最も効果が出るのではないか」と仮説を立てます。そのうえで実験計画を立て、実験結果からその仮説が正しかったかどうかを検証する。そういうプロセスをきちんと理解することも大切です。

仮説が違っていたことも一つの進歩。
何から面白いことが出てくるかわからない

学生とはお互いにディスカッションしながら進めるようにしています。もし実験に失敗したとしても、「この仮説は違っていた」というのがわかったことは一つの進歩です。何から面白いことが出てくるかはわかりません。研究テーマは各自それぞれですが、微生物を扱う実験なので原則として毎日操作が必要です。そこでチームを組み、誰かが帰省するときはほかの人が同じ操作ができるような体制にしています。学生同士で議論を深め、教え合うなかで学ぶことも多いでしょう。世界に目を向ければ、かつて日本がそうだったように、途上国ではまず上水道が普及します。みんなが使った水によって汚濁が広がり、公害があり、排水規制ができて、やっと下水道が普及します。そうならないためにも、今後先進国の水処理技術が果たす役割は大きいのではないかと考えています。

先生からのメッセージ:2022年2月撮影